錦三大神輿
疎開までさせて守った宝物
昭和8年四世宮惣村田喜三郎作。平成8年神輿師小川政次修復。
この神輿最大の特色は「金虫喰塗(きんむしくいぬり)」という研出し変り塗で彩られた屋根にあります。これは、虫喰跡のように不規則な下塗りに金箔を貼り。上に漆を塗り重ね研ぎ出す技法です。神輿屋根は素木(しらき)をはじめ黒漆・梨地・螺鈿・沃懸(いかけ)など多様な技法を用いますが、「虫喰塗」の作例は他に類例を知りません。
加えて錺師水谷庄助の鏨(たがね)になる蕨手・吹き返し・八双金物・台輪金物等の牡丹唐草紋は、野筋や軒面の紗綾形紋と相俟って、神輿に独特の華やぎを供します。また木彫りも、柱隠しの昇龍降龍・木鼻の唐獅子・欄間の「松に飛鶴」扉脇の「桜花に山鵲(さんじゃく)」蹴込(けこみ)の「波に千鳥」と、定石に叶った造りになっています。特に東西堂嵌(どうはめ)「牡丹に唐獅子」のしなやかな動きや東側の親獅子がくわえる唐籠は、七宝の籠彫で珠を彫落としてあり珍しい上に凝った造りで、彫刻師の技量の高さが伺えます。
総体「虫喰塗」や錺金物等、黄金使いの多いうちに朱の鳥居・囲垣を配し、宮惣独特の力強い屋根の起こり(むくり)と、照り(てり)を付けない直ぐ(すぐ)な軒線、そして台輪も古風に四角くまとめ、華やかな内にも端正な趣を醸す、神田有数の神輿と自負します。
(東神田在住鈴木正道氏に解説をお願いし、当町会にて再構成いたしました)
素木(しらき)の彫刻に八双金物、朱の鳥居・井垣を配す
東西堂嵌(どうはめ)「牡丹に獅子」
■近年は、神田祭時の金曜日夕方にお神輿を出して近隣の会社の方にも担いで頂いております。
ご興味のある方は是非神田公園出張所までお問合せください。(電話03-3252-7691神田公園出張所)